ステンレス製オーダーチェア

今日は木製ではなくステンレス製のオーダーチェアの製作過程をご紹介します。この写真をご覧いただくと目につくのが沢山の曲げ加工だと思います。

ステンレス曲げ加工のオーダーチェア

ステンレスパイプを曲げると、内側の収縮率と外側の膨張率の大きな違いから、パイプが丸い形を崩して潰れていってしまうのですが、この写真を見る限り大きな潰れは見えていません。これがオーダー家具メーカーの技術力なんですね。試作を繰り返して作り上げるのではなくて、たった一回の製作でこの様に沢山のカーブが違う曲げ加工を完璧に行います。そして1本のパイプを何度も違う方向に曲げる作業は機械の中に入りませんので、短いパーツを何本も接続していきます。接続箇所が見えますが、全てピッタリジョイントされています。このノウハウを持つ職人が一人ですと、彼が他社に引き抜かれた時点で工場は終わりますね。また一人に頼ると人件費の高騰にも繋がります。ここの人の数と仕事の量を程よいバランスで経営していくのが私の仕事になりますね。工場経営って仕事を取れば良いのではなく、人を揃えれば良いのではなく、機械を設置すれば良いのではなく、技術力を誇れば良いのでもなく、必要なのは総合的な運営力なんですよ。

この記事を書いた人

鈴木隆義